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メアリは、いつも仕事に追われているイギリス政府の役人の父と、美人で社交界の花であった母との間に一人娘として生まれました。
メアリの世話は、全て乳母や使用人たちにまかせきりでした。幼い頃から病気がちで、何かしら機嫌の悪いメアリ。乳母たちはメアリの言うことをなんでも聞き、思うとおりにさせていました。そのため物心つく頃にはとてもわがままな娘になっていました。
ある暑い朝のことでした。
メアリの世話をする乳母が、いつまでたっても、やって来ません。
恐ろしい流行り病で、両親も乳母も亡くなり、メアリはひとり部屋に取り残されてしまったのです。
ヨークシャーのムアとよばれる荒野にある、暗くさびしいお屋敷には、たくさんの謎と怪奇が待ち受けていました。
長い廊下の奥から響いてくる誰かの泣き声。しかし…
鍵をかけられ10年近く閉ざされたままの庭があることを知り、メアリは早速外に出て、いくつものウォールド・ガーデンを探索して行きます。それはわくわくするような生命の脈動の始まりだったのです。
もはやメアリはひとりぼっちではありませんでした。 |
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