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イングリッシュ・ガーデン(英国式庭園)は、英国の歴史と文化が育んだ自然美の庭園です。長い歴史の中でそれぞれの庭園スタイルがその時代を色濃く反映しています。
英国で初めて庭園がつくられたのは、紀元前1世紀から始まった古代ローマの占領時代にさかのぼります。ローマ人がもたらした庭ですが、庭らしき形をもつものが現れるのは15世紀後半です。教会や修道院の中の壁にかこまれた土地で、果樹園やハーブを育てた庭園です。
16世紀には大陸のルネッサンス様式を取り入れた庭園が誕生し、17世紀に入って貴族がイタリアやフランスの影響を受けて、荘園にカントリーハウスを構え、整然とした人工的な美しさのフォーマル・ガーデン(整形式庭園)が多く造られるようになりました。
しかし、フォーマル・ガーデンが英国の風土・地勢に合わないことがわかり、英国独自の庭園が出現します。18世紀には、ランドスケープ・ガーデン(風景式庭園)という自由で自然なものへの回帰としての庭園が誕生し、19世紀のヴィクトリア時代には産業革命によってもたらされた未曾有の繁栄によって、より広大な庭園が造られるようになりました。「メアリの花園」の舞台もこの時代になります。
19世紀後半からは、このような派手な庭園の流行から離れ、ごく普通の花をごく自然に植える、そして花や葉の色彩効果を考えた植栽方法が生み出されます。それまでになかった新鮮な庭、植物の自然な美しさにあふれるコテージ・ガーデン(田舎屋の前庭)スタイルの誕生です。20世紀に入ってコテージ・ガーデンは人気を集め、今日まで続いています。
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